肺高血圧とは

高血圧には、一般的に知られている高血圧の他に、白衣高血圧、早朝高血圧と言うような、通常とは若干、異なった高血圧があることはご存知でしたでしょうか?

その中に「肺高血圧」という高血圧の種類があります。

肺高血圧とは、簡単に言いますと、循環器における重い病態の一種です。

もう少々詳しくお話しますと、肺動脈を通る血圧というのは全身の血圧に比べますととても低い値でして、全身の血圧の正常値が約120/80mmHgであるのに対して、肺動脈の血圧はたった25/15mmHgしかないのです。

ですが、これが肺動脈の血圧としては正常値となります。

この値が異常に上昇してしまうことを肺高血圧症といいます。

肺だけの高血圧だからといって、安心していてはいけません。

上昇した血圧は、やがて肺動脈を損傷させることになるのです。

毛細血管の壁は厚くなってゆき、肺と血液の間においては、酸素と二酸化炭素の正常な交換が出来なくなってきます。

そのために、血液中の酸素濃度が低下するという状態になってくるのです。

そして、酸素濃度の低下は肺動脈の狭窄を起こします。

このような変化により、肺を循環する血管の血圧がどんどん上昇してゆくこととなります。

肺高血圧症とは、大変に怖い病気なのです。

また、肺高血圧症におきましては、心臓の右心室が肺動脈を通して血液を肺に送り出すのが困難になってゆきます。

そういたしますと、やがて右心室は肥厚して拡張することになり、肺性心と呼ばれている心不全を引き起こすことにもなるのです。

高血圧は、健康にとって良いことはひとつもありません。

正常値を超える状態がしばらく続くようでしたら、必ず病院へ行ってくださいね。

病院に行かずに放置してしまう方も中にはいらっしゃいますが、それは新たに病気が見つかるのを待っているのと同じです。

高血圧はそれ自身よりも、高血圧が原因となり引き起こされる病気の方がずっと健康に害を与えます。

高血圧の早期発見と改善をすることで、それらの病気を未然に防ぐことができますので、そのことをしっかりと理解しておく必要があるでしょう。